新しい日々

日が出ないうちから起き出す
当たり前の暗さにいまだに驚いている
ここでは一人きり
改めて実感するたびに
私は
私に差し向けられているものを思う
誰も居ないから
私は誰なのだろう
鳥の餌のようなミューズリ
味の濃いオレンジジュース
しなびた朝食を噛み締めれば
その日一日が始まる
町を歩いていても
バスに乗っていても
私は自由でいられる
薄れている記憶を引きずり出して
思い出しては
手ごたえのない感触の中に浸る
やらなければならないことを片付ければ
時間は過ぎていく
厚い壁に守られた部屋で
今夜も窓は開けたまま
薄暗いランプの下で
もう会うこともないだろう人のことを
私はまた考えている
ここでは一人きりだから
喋らなければ本当に
透明みたい
いつかの望みが叶ったのだと
気づく
寂しさの手に
私の胸は優しく押し広げられ
だから
もう寂しくない
誰も知らない私が眠る
今日が終わる
私の中で世界がまた
生まれる


2010年10月23日



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