ひとつの窓
昨日より音が鳴る今日は
いつしか部屋を満たしていた悲しみを
傾いた窓の向こうから眺めることで
あなたの形をした影を
ものの影のように見ることができた
少しずつ完結していく
滞りのない世界を
私は外側から眺めてみたい
たとえば
光の速さに追いつくことなく
老いてゆく若さも
ちっぽけなものと名指すこと自体が
一つの共鳴として
脈々と受け継がれていった
ただ一つの地点から
遠ざかるまでの距離は
もう戻れないと思うまで
離れてゆく
あなたのいるそこで
私は生きられなかったから
あなたそのものが
私の過去でいる
2016年6月7日